コロナウィルスによる法人税猶予について調べたのでまとめた

法人税の納付コロナウィルス

コロナウィルスの影響が深刻になってきました。個人の確定申告(2019年分)は4月16日に延期されましたが、企業(法人)の申告および法人税の納付はどうなるのでしょうか?

私の勤務先(上場企業)も先ごろ決算期を迎えました。2019年度の業績であるためおよそ良好であったものの、直近はコロナウィルスの影響により売上高は激減しています。資金繰りを考えますと、おいそれと納税して良いものかとても心配になります。儲かっている会社だって、手元資金が豊富にあるとは限りません。

経営陣からも、現在の主な支出(キャッシュアウト)で支払いを遅らせられるものはないか、あえて遅らせた場合はどんなペナルティーがあるか調べるように言われました。

これから、3月決算を迎える企業の経営企画や経理、財務の担当者はおんなじことを調べることになるんじゃないかと思ったので、今回私が調べたことを記載しておきます。

※ この記事は3月30日段階の調査内容です。今後対策が拡充される可能性がありますのでご留意ください。

一般企業が資金繰りのために、支払いを遅らせたいものとは?

まずはじめに「給与」は除きます。当然ですよね。特にこの点は異論ないと思いますので触れません。

次いで、「仕入れ」に対する支払いも除きます。それをやってしまうと取引先が倒れてしまいますから。「家賃」については家主やディベロッパーと交渉ですね。家主やディベロッパーの方が体力がある場合があります。大切な店子(たなこ)が倒産したら困りますから。

以上のほかに、一般的企業の主要な支出を見てみましょう。以下が挙げられます。

  • 法人税(法人事業税・法人住民税含む)
  • 消費税
  • 固定資産税
  • 源泉所得税
  • 社会保険料
  • 公共料金(電気料金、水道料金、ガス料金など)

そして調べた結果、一般企業の納付猶予については以下の通りとなりました。
確認する限り、事業規模(資本金など)による足切りはないようです。

支出項目1支出項目2法人の申請管轄/問合せ申請時期
国税法人税各税務署開始はいつでも
期限は納付期限の6か月後迄※
消費税
源泉所得税納付期限1か月後に 督促状が
発送され、到着してから
地方税法人事業税・法人住民税都税事務所や
道府県税事務所
開始はいつでも
期限は納付期限の6か月後迄※
固定資産税
社会保険料各年金事務所災害がやんだ日から
2か月以内
公共料金電気・ガス・水道料金不可各事業会社

※ ただし通常の企業であれば納付期限までには申請すべきとなります。

法人税や消費税の納付は猶予申請できる? 遅らせるとどうなる?

法人税や消費税は大きな支出項目です。昨年度の決算が良かったからと言って、今年の緊急事態につき納税は遅らせたいところです。黒字決算の会社(上場会社含む)は認められるのでしょうか?

結論から言うと、猶予申請はでき、認められる可能性もあります。国税庁の通達を参照してください)

実際に法人税を管轄しているのは税務署です。まずは自社を管轄している税務署(の法人税を扱っている部署)に電話しましょう。

ここで注意が必要なのは、電話に出る担当者によって温度感が違う場合があります。資金繰りに詰まっていなくてもコロナ影響の状況を見て納税猶予に前向きな担当者もいれば、「従来の規定」とにらめっこしながら納税猶予に後ろ向きな担当者もいます。まずは電話したり、税務署の相談窓口に赴いたりして話をするところからはじめましょう。私が実際に電話した管轄税務署では、承認が下りるかは別として、申請は出来るということでした。

申請ができれば、審査が下りるまでは滞納扱いにはなりません。(ただし、承認が下りなかった場合は本来の納付期日を起算日として延滞税がかかります。)

※ ちなみに法人税は国税で、法人事業税と法人住民税は地方税でのため、手続き先は別です。ただし、国税の方で認められれば、地方税でも同様に認められます。

法人税・消費税の納付猶予を申請する場合のスケジュール

納付猶予を申請し、承認がおりる場合は1年以内の納税猶予および延滞税の徴収無しです。ただし審査の結果承認が下りない場合は、以下の通り利子税や延滞税がかかります。注意しましょう。

審査は、コロナウィルスという前例がない事象のためどれくらいかかるか分かりませんが、およそ1か月くらいだろうと私が問い合わせた担当者は言っていました。(審査期間中の分も、承認が下りなければ延滞税がかかるとのこと。)

申告期限納付期限延滞税1延滞税2
決算後、2か月以内決算後、2か月以内納付期限から2か月まで
年2.6%
納付期限2か月後以降
年8.9%
申告を延長申請する場合
決算後、3か月以内
決算後、2か月以内
(予定納税し後日調整)
納付期限後から申告延長をした1か月間は利子税1.6%。その後の2か月が2.6%納付期限2か月後以降
年8.9%

源泉所得税の納付は猶予申請できる? 遅らせるとどうなる?

源泉所得税に関しては、事前の猶予申請制度というものがありません。そのため、督促が来てからの猶予申請手続きになります。 督促は納付期限の1か月後に発送されますが、現行では滞納扱いになり企業としては全く望ましくありません。

滞納扱いになると銀行からの融資は基本的に受けられなくなるため、猶予申請の制度そのものはありますが、「使える制度」とは思わないことです。

社会保険料の納付は猶予申請できる? 遅らせるとどうなる?

災害時の支払い猶予制度があり、現状はそれが適用されます。 ただし、資金繰りの体力があるうちは申請できません。源泉所得税同様、こちらも「使える制度」というわけではありません。

資金繰りがいよいよ危ういという段階で はじめて申請可能となります。受理されれば、1年以内の猶予と延滞税免除が認められます。 (単なる延滞をした場合、令和2年時点では、納付期限から3か月まで2.6%、それ以降は8.9%の延滞税が発生します。)

社会保険料の納付期限(引用:日本年金機構ホームページより)

※ 源泉所得税と社会保険料については、社員へ支払われる給与から天引きしている、いわば預かっているお金ですので、これを滞納することは原則できません。コロナ影響下においても、私が年金事務所に問い合わせた際は認められない方針とのことでした。

公共料金の支払いは遅らせられる? 遅らせるとどうなる?

電力設備

経済産業省より3月19日に、コロナウィルスにかかる支払い猶予につき通達がありました。しかしながら、現在の適用範囲は困窮した個人に限られるとのことでした。法人への適用はないとのことです。(東京ガス担当者に電話にて確認。電気料金・水道料金も同じとのこと。)

もし滞納した場合、取引事業会社によりますが年10%程度の延滞金が付されつつ、支払期限後の2か月程度のちに供給停止になります。

まとめ

  • 法人税や消費税については、企業の規模を問わず、猶予申請は出来る。
  • 猶予可否については、所轄の税務署の法人税部門(徴収課)にしっかりと相談をする。
  • 猶予の許可が下りた場合、通常は「納税の猶予」措置となり、1年以内の猶予、延滞税なしが想定される。
  • 源泉所得税や社会保険料など、社員の給与から天引きとなるものを納付しないことは厳しい。
  • 公共料金は、経産省から通達あるも、困窮した個人でなければ支払猶予はなされない。
  • コロナの深刻可に伴い、制度は拡充する可能性があるため、都度所轄の役所に問い合わせる必要がある。

以上となります。
経営者や企業の担当者はみんなつらいと思いますが、なんとかお互いふんばり、乗り切っていきましょう。

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